くわんのブログ

主に、本とブラジリアン柔術について

読書ブログ 第2回「第三帝国の愛人」

 ドイツ系の企業に勤めているというのもあり、最も多く訪れている外国なので歴史を学ぼうと思っていたところライフネット生命の出口さんが雑誌で薦めていたので購入しました。

本書はナチス政権下に駐独米国大使のドッドとその家族のノンフィクションです。
大学の教授だったドッドが様々な偶然から駐独大使となり、ナチスのユダヤ人迫害にはじまる外国人排斥などに対し毅然な態度で対峙していくだけではなく、アメリカ大使館内での政治や批判と戦っていく話を中心に展開されていきます。また、ドッドの娘マーサを中心にした華やかな社交界の場についても描かれています。

印象に残ったのは人々がナチスに傾倒していく場面よりも、政党内でのパワーバランスを一番近いところから客観的に観察されており、バランスが崩れる瞬間が非常にスリリングでした。疑心暗鬼と権力欲が原因なのだという理解ですが、”やらなければやられる”という感覚を以下に権力者の周りに構築する事が正しい判断を狂わすのかが分かる例だと感じました。この一場面だけ見ると、ヒトラーもサディスト達が自らの欲求を満たすために良いように使われたのではないでしょうか。

他にもドイツの近現代史を読んで、ヒトラーがそもそも悪いという点だけではない何かを学べると判断するという事が学べると今は考えています。